残業すると賞与が減る?

残業をすると賞与が減るという会社の話題です。
残業をいかにしたら減らせるか、無くすことが出来るかは、永遠の課題であり、大変むづかしい、いや、ほとんど不可能なこととどの会社もあきらめているのではないでしょうか? 納期に追われ、競争に負けないため、会社を伸ばすためにと、日夜残業をしている方が多いと思います。

この残業を「禁止」して、業績も伸ばしている会社があります。
外資系の下着メーカーのT社ですが、社長のY氏が本も執筆されており、ご存知の方も多いと思います。
T社では、午後6時半の終業時刻になると、自動的に照明が消えていくのだそうです。人間がスイッチを消すのでなく、機械的に、順番に消えていくのです。
その上、残業した社員には「罰金」が科せられるのです。「罰金」といっても、直接本人からは取れませんから、その部門の賞与の原資から控除するのだそうです。
これでは、少ない人数の部門では結構こたえるものと思います。
信じられないような話ですが、本で公開されている話なので本当なのでしょう。
「残業」は悪だという社長の強い信念が現れており、そのポリシーを単に掛け声だけでなく、担保付で実行していくというなかなか思い切った制度ではあります。

このような制度が、法的に妥当かどうかすこし考えて見ましょう。
その本によると、残業した分の割増賃金は払っているとのことです。問題は、残業すると賞与の「原資」を減らすという制度ですが、これは、法的にはなかなかむづかしい面があり、いろいろな主張があるでしょうが、単純に違法であるとは言えないと思われます。 

賞与については、賃金の一部であることは間違いないのですが、毎月の給料と違い、支給の根拠としての「規則」を決め、それにしたがって払っている限りは違法とはいえないのです。問題は、その規則が「信義則、公序良俗」に反する程度のものであるかどうかですが、上記のような例では判断が分かれるものと思われます。

会社にしてみれば、仕事の効率化、生産性向上、従業員の健康のためという大義名分がありますし、就業規則(賞与の支給規則)で明確にそのことを規定していれば、従業員も事体の予測ができ、混乱もおきていないのでしょう。

T社の例は極端な例でしょうが、「残業は悪だ」という考え方とそれを強制的に実現しようという仕組みづくりと結果的に会社も業績を伸ばしているという事実は、画期的なものだといえるでしょう。 



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