残業手当の行方(4)

今回のWorking hours法制改正案では、現在最低25%の残業代の割増率を、月30時間を超える場合に50%とするという案が出されています。 
休日労働には100%(2倍)の割増を支払うという国もある中で、わが国の残業割増率は、これまで諸外国に比べ大変低水準なものであったことはあまり意識されていません。 

労働基準法37条では、割増率のアップは50%までは「政令」で定めることができる旨規定されており、国会の議決は必要ないのですが、いくら小泉内閣でも財界の反対を押し切って一方的には出来ません。 おまけに、この残業手当の計算基礎額からは、賞与分や家族手当などが除外されており、その労働者の総賃金の25%増しでなく、割り引いたあとの25%増しとなっています。 経営側としては、もう一人労働者を雇うより、今の社員に残業をしてもらったほうが人件費としては、相当の節約になるわけです。

もし、今回の改正案が通り、自律的労働制度(日本版ホワイトカラーエグゼンプション)が実施されると、多くのホワイトカラー、技術者などがこの25%の割り増しさえもらえなくなるわけで、なんらかの代替措置が望まれるところです。

今後は、残業手当とは無縁の労働者と、割増率50%をもらえる労働者の2極分化が進むものと思われます。 残業手当とは無縁になってしまった労働者には、文字通り「自律」の精神、言い換えれば自己の生産性をいかにあげていくかが、重要になってきます。



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