労働・社会保険手続きと電子申請
労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険をまとめた総称であり、業務上災害と通勤途上災害による傷病等に対する補償(労災保険)、失業した場合の給付(雇用保険)等を行う制度です。
保険給付は、両保険制度でそれぞれ行われていますが、保険料の徴収等については労働保険として、一本化され、取り扱われています。
労働保険は、農林・水産の事業を除き、法人・個人を問わず労働者を一人でも雇用する事業主は強制的に加入することが法律で義務付けられています。
労災保険は、職場での災害、通勤途上で災害にあった社員の療養や、生活費をサポートする制度です。 労働基準法は、労働者が仕事でケガをしたり病気になった場合は、会社に、労働者の療養費を負担することや休業補償をすることを義務づけています。
しかし、会社に支払い能力がない場合など補償が確実になされるとは限りません。このために、労働者を一人でも雇用している事業主は、法人であろうと個人であろうと労働者災害補償保険へ加入することが義務づけられています。会社が労働者災害補償保険に加入していれば、仕事のうえで災害を受けたときは、保険の方から補償が行われ、労働基準法の災害補償制度が直接適用されるのは、最初の3日間の休業補償などの限られたものになります。
保険料はすべて事業主負担です。また、通勤途中に事故にあってケガをした場合も労災保険から業務上災害と同じ給付が行われます。
労災保険はパートタイマー、契約社員、アルバイト、外国人従業員など雇用形態にかかわらず全社員に適用され、その分の保険料を支払わねばなりません。
雇用保険とは、労働者が失業した時に、その人が再就職するまでの生活の安定を図るための給付などを行う制度です。雇用保険は外国人にも適用になりますが、外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けている者、外国において雇用関係が成立した後、日本国内にある事業所に赴き勤務している者については、被保険者になれません。また、一週間の所定労働時間が20時間に満たない社員なども適用が除外されています。
雇用保険の加入手続きは、事業主が管轄の公共職業安定所に対して行います。また、助成金などの形で会社も支援します。
日本の社会保障制度(社会保険、公的扶助、児童手当、社会福祉、保健衛生)のなかで、中核的存在となっているのが社会保険です。社会保険は、一定の事故に対する保険給付で、経済的保障という機能を果たしています。
すなわち、保険給付に必要な資金をあらかじめ制度加入者の拠出(保険料など)によって準備しておき、病気、負傷、身体の障害、死亡、老齢、失業などの保険事故が発生した場合に、保険給付を行うことにより、制度加入者やその家族の生活を保障していこうというものです
しかしながら、社会保険には、いろいろな種類があり、年金・医療・福祉などの各分野について制度が縦割りになっているため、非常にわかりにくいのが現状です。また社会保険の恩恵を実感できる場面はあまり多くはないでしょう。病気、ケガ、失業等があって、初めて真剣に自分が属している制度について考えるのではないでしょうか。またその仕組みや手続きについても、よく分からないというのが実情ではないでしょうか。
株式会社や有限会社などの法人の事業所は、原則として全て『健康保険』 『厚生年金保険』に加入しなければならないことになっています。 これらの保険には、自営業の方たちが被保険者となる『国民健康保険』 『国民年金』に比べると次のようなメリットがあります。
- 傷病で欠勤が続く場合に支給される所得保障『傷病手当金』がある。
- 出産休暇中の所得保障『出産手当金』がある。
- 老後の年金額や、万一の場合の障害年金、遺族年金額に厚生年金分が上乗せされる。
- 社会保険の加入は、社員はもとより、対外的にも会社への信頼感、安心感を与えます。
これらの保険制度に加入するためには、さまざまな資料を準備して管轄する役所に出向き、成立届や、設置届、資格取得届などの煩雑な届出を行なう必要があります。 また、加入後も社員の入退社にともなう資格の取得・喪失や、さまざまな給付を適切に受給するために必要な手続きが日常的に発生します。 当事務所では、これらの煩雑な手続きを事業主の方のために代行いたします。英語での資料・報告書などもご要望により作成いたします。
電子申請とは、社労士事務所に設置しているPCと行政官庁をインターネットで結び、手続きを電子的に行う申請方法です。申請者は厚生労働省の電子申請・届出システムにより電子データを送信します。送信されたデータは、書面による申請・届出を処理する事務所と同じ事務所へ電子的に配信され審査等が行われます。申請・届出と同様に公文書取得についても、事務所の窓口に出向くことなくインターネットを経由して、厚生労働省から電子的な公文書を取得することができます。
電子申請を行う上で、送信する電子データの安全性を確保するため、申請者の電子証明書が必要となります。当事務所では、 全国社会保険労務士会連合会 認証局からの社会保険労務士電子証明書を取得しており、電子申請を積極的に進めております。
現在、社会保険事務所や、公共職業安定所、労働基準監督署へ提出する書類のほとんどは「紙」に記入して、事業主の印鑑を押印し、それぞれの役所の窓口へ直接出頭するか郵送で提出しなければなりませんが、窓口が混雑しているときは非常に待たされたりすることもあります。電子申請は、これらの業務をインターネットを通じて行いますので、記入する手間、役所の窓口へ足を運ぶ手間などがなくなるので、手続きの簡素化・合理化が進み業務処理の迅速化を図ることができます。
また、事業主の方には、当事務所との「提出代行に関する継続委託契約」をおすすめしています。継続委託契約をしていただくことにより、「送信代理」が可能になり、次のような日常的な社会保険の手続きには、事業主の電子証明書が不要になります。
- 健康保険 厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険 厚生年金保険 任意適用申請書
- 健康保険 厚生年金保険 任意適用取消申請書
- 健康保険 厚生年金保険 適用事業所全喪届
- 健康保険 厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届
- 健康保険 厚生年金保険 適用事業所所在地名称変更(訂正)届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届
- 厚生年金保険被保険者住所変更届
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 雇用保険被保険者資格取得届(連記式)
- 雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付を伴わないもの)
- 雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付を伴わないもの)(連記式)
- 雇用保険被保険者転勤届
- 雇用保険被保険者転勤届(連記式)
- 雇用保険被保険者氏名変更届
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書又は同休業・短縮措置等適用時賃金証明書の提出
- 雇用保険の事業所の設置の届出
- 雇用保険の事業所の廃止の届出
- 雇用保険の事業所の各種変更届
- 雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届
- 雇用保険事業所非該当承認の申請
また、労働保険料の年度更新なども、アクセスコード方式により、事業主の電子署名が不要になっています。
電子申請はまだまだ歴史も浅く、使い勝手の悪い面もありますが、当事務所では、ITに強いというメリットを生かし、今後確実に普及するであろう電子申請時代に、いち早く対応し、業務に取り入れることにより、顧問先の皆様に、より安心していただける事務所となるよう目指しております。
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