退職金制度
退職金制度の抱える問題点
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バブル景気崩壊後の景気低迷と金利の大幅な低下の影響で、退職金の支払いに頭を悩ませている経営者の方からのご相談が多くなってきています。
退職金規程通りに計算すると大変な高額になってしまう従業員の退職金を「どうにかならないか!」という経営者の声をよく耳にします。
しかし、退職金の減額や退職金制度の移行・廃止は、慎重にやらなければ、法的な問題も残り、やり方によっては会社にとって大きなダメージを残すことになります。
退職金の支払いに伴うトラブルで書類送検された経営者の方も存在します。退職金というのは、一旦、退職金規程を作成してしまうと従業員に退職金を受取る権利を与えたことになりますので、一方的に廃止したり、減額することはできません。
- 当事務所は経営者の方とともに、今の退職金制度を徹底的に見直しながら、適正な額はどの程度か、本当に廃止すべきなのか、最適な移行方法はどれかをご提案いたします。
- 税制適格年金も早急に移行先を探さねばなりません。当事務所ではこの適年移行問題にも取り組み、さまざまな選択肢からの「制度移管」のお手伝いをいたします。
外資系企業に多い、退職時基本給完全連動型退職金について
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外資系企業の退職金制度の多くが退職時基本給完全連動型となっています。この制度は、会社への貢献度の大小に係らず多額の退職金が支払われる点、退職時点に近づかないと正確な退職金額が計算出来ない点など多くの問題点があります。
- 外資系企業では、中途入社が多く、勤続年数は比較的短かったため、いままでは退職金の支払いもそれほど負担ではありませんでした。しかし、景気が低迷する中での転職意欲の低下により、勤続は長期化し、定年で退職するケースが多くなると、それに見合った準備や対策が必要となります。勤続年数係数は勤続年数が長くなるに従い急激に大きくなるため、支払う退職金の額も多額となります。
- 適格退職年金などの外部積立で退職金の準備をしている場合、運用環境の悪化から積立不足が発生し、企業が埋め合わせしなければならない債務が存在します。
- 制度見直しの時点まで、現行制度の退職金の「既得権」は聖域として保護されなければならないので、勤続年数の長い社員がいる会社で現状を放置しておくと、日々退職金債務が積みあがって来ます。退職金制度の見直しは早いほど有利です。問題を先送りしていますとそのツケは、より大きなものとなり、経営を揺るがしかねない問題となってしまいます。