日本で在宅勤務は普及するか

おびただしい蝉の啼声も、秋の夜の虫の音に替わり、ここ南関東でもようやく秋の兆しが見えてまいりました。 しばらく夏休み状態であったBLOGを再開いたします。

今回のテーマは「在宅勤務」ですが、古くは封筒張りなどの家内制手工業、少し前のSOHOブームを経て、最近では国内の大手企業でも取り入れるところが出てきているようです。労働者にとってのメリットは計り知れないものがあり、多くの方がもし家で仕事ができたら、こんないいことはないと思っておられることと思います。あの痛勤地獄からも開放され、ネクタイも不要、嫌いな社員と顔をつき合わせず仕事ができるなど良いこと尽くめのようです。

しかし、問題がないわけでもありません。会社にとって見れば、本当に仕事をしているのかどうかがわかりにくい、職種が限定される、評価が簡単でないなどのデメリットもあります。 

筆者の以前勤務していた外資系企業では、ヨーロッパの国々でもっとも普及しており、週2日は完全に家で仕事をしている同僚がおりました。アメリカでも月のうち何週とか、あるプロジェクトの期間中だけとかいった限定的なものですが、1990年台後半からすでに実施されていたように記憶しています。

この在宅勤務がわが国で今後どのくらい普及するかですが、1番の問題はやはりわが国での風土習慣、歴史の浅さなどが挙げられるでしょう。また別の問題として、わが国の住宅事情も挙げられるでしょう。自宅での「勤務」は仕事専用の個室が確保できないとなかなか難しいことは筆者も経験済みです。

一方で最近の情報通信機器やネットワークの進歩は目覚しいものがあり、メールのやり取り、電話会議、ネット会議などが簡単にできる昨今では在宅での勤務は以前に比べて格段の生産性が挙げられるようになりました。
厚生労働省も平成16年3月に「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を発表し、在宅勤務についての労使の心構え、労働基準法の適用などについて指針を与えています。

完全な在宅勤務、すなわち、月のうちほとんどの日を在宅勤務にすることは、難しいことでしょうが、週のうち2-3日、月に1週のみ、午前中は在宅で午後から出社などといった勤務形態は比較的多くの企業で可能な選択肢となると思われます。

正社員以外のいわゆる非典型的雇用がますます増えていく世の中ですが、テレワークという「非典型的働き方」も今後はいっそう普及してくるものと思われます。
痛勤地獄よさようなら、といえるのはそんなに遠い先のことではないかもしれません。



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