基本給に残業手当を含む(その2)

先日お知らせした、残業手当請求事件の判決全文が公開され、事件の内容が明らかになりました。 判決の全文は東京地裁のHPよりダウンロードできます。(H17.10.19 東京地方裁判所 平成16年(ワ)第23338号  超過勤務手当請求事件をクリックしてください)

先日も述べたとおり、原告(元モルガン・スタンレー・ジャパン社員)の請求した残業割増賃金の請求を棄却した判決です。争点としては原告が労基法の言う「管理監督者」にあたるかという点と管理監督者ではないとしても、残業手当は年俸に含まれるのかという点が重なって争われており、ちょっとわかりにくいのですが、簡単に言うと、次のようなものでした。

1.原告のような外資系インベストメントバンクでは超過勤務手当の支給はないのが通例である。
2.原告は在職中には報酬について意義を唱えていない。
3.基本給だけでも月額183万円あまりを受け取っており、労働者の保護にかけるところはない。

これらの判決の記述は、これまでの「残業手当を基本給に含めるには、残業手当にあたる部分を明確に区別していなければならない」という判例に対し、「明確に区別されていなくても、含まれると解釈できる場合がある」という点で革新的なものではあります。 ある程度の高額の年俸制をとっておられる企業にとっては、注目すべき判例でしょう。



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