就業規則の付属諸規程
付属諸規程を別規程とするメリット
就業規則は、ひとつの規則で全体が把握できることが望ましいのですが、何もかもひとつの規則に盛り込もうとすると、ボリュームが増えてしまうことで、読みづらくなるおそれがあります。また、作成後の変更や追加などのメンテナンスも煩わしいものになってしまいます。
そこで、就業規則「本則」には主要な規程だけを定めておき、詳細な内容は本則とは別に諸規程(別規程)として定めることが一般的です。 例えば、正社員とは別にパートタイマーに適用する部分を別規定で定める場合や賃金、退職金に関する規定を別規程としてしまうような場合です。
付属諸規程作成に当たっての注意事項
この場合、就業規則本則では「パートタイマーには適用しない」という除外規定と「パートタイマーについては別に定めるパートタイマー就業規則を適用する」という委任規定を設けることになります。こうすることで、パートタイマーには本則を適用しないことが明確になるわけです。この他によく別規定とするものとしては、賃金規程・退職金規程、育児・介護休業規程、出張旅費規程、個人情報保護規程、転勤規程などがみられます。
なお、別規程は単独で存在せず、就業規則「本則」に基いて作成されるわけですから別規定も含めてひとつの就業規則となります。そのため別規程を作成した場合、そのすべてについて労働者代表の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。
このほかの付属規程を作成した場合も、本則からの「委任規程」を作成することが望ましいとされています。この委任規程は、絶対条件ということではありませんが、管理上、分かりやすさという意味でぜひ記載してください。
特に上記のように、「本則と異なる取り扱い」を定めるときは委任規程が必要になります。
しばしば、別規程を「内規」として労基署には届け出ない場合がありますが、従業員の大多数に適用される規則であれば、届出はすべきでしょう。
付属諸規定の周知義務
また、適用のない規則を交付しないこと、たとえば、退職金の規定の適用のない従業員に退職金規程を交付しないことは、実務上は問題ありません。ただし、就業規則の周知義務としては、「全部の規則を全部の従業員に周知する義務」があることに注意してください。
従業員が、「就業規則の内容を知ろうとして知ることのできない状態」でないことが必要です。
別規程の例
パートタイマー就業規則 契約社員就業規則 嘱託就業規則 臨時社員就業規則 派遣社員就業規則 賃金規程 退職金規程 育児休業規程 介護休業規程 転勤規程 慶弔見舞金規程 出張旅費規程(国内・海外) マイカー使用規程 社宅管理規程 人事考課規程 制服貸与規程 賞罰規程 表彰規程 保養所利用規程 |
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